この2週間は毎日2~3時間寺垣スピーカーと付き合っていました。まずセッティングして最初に聴いたのはアイネクライネナハトムジーク(ワルター/ウィーン・フィル、1930年代録音SP音源、東芝EMI製CD)です。線が細いなという印象でした。次にシュテッヒ=ランダルのモーツァルトの歌曲(仏音楽祭1950年代ライヴ録音、INAmemoire vive CD)。以前には聴けなかった銀糸を寄り合わせたような声に感激しました。
• モーツァルト歌劇コジ・ファン・トゥッテ(ブッシュ指揮グラインドボーン、1950年SP録音のLP、ワールドレコード 英EMI製):60年前の録音でSPをLPにトランスファーしたのが信じられないほど寺垣スピーカーは異様にリアルに目の前で演奏しているように鳴ってくれました。人の声もオーケストラも艶やかで生々しいので驚きました。
• ワーグナーのラインの黄金(フルトヴェングラー指揮、1950年スカラ座ライヴ、伊チェトラ、モノLP)&(ショルティ指揮のステレオLP、ロンドン 日本ポリグラム製):大編成ものはどうかなと危惧しましたが、スイッチオンしてLP1枚分程度ならし運転をしますと量感が出てきました。また、日を追ってスケール感がでてきました。ワーグナーも十分に鳴ってくれます。
聴きはじめて最初のころはスーパーウーハーが必要かなと思っていましたが今では十分にバランスのとれた音で鳴ってくれます。現在のところスーパーツイーターの必要性も感じません。また、大きくはないし重くなく、一般的な日本の家屋では丁度いいサイズだと思います。
昔、雑誌で寺垣氏が製作したレコードプレーヤーを見て初めて氏の名前を知りました。しかし、このような作品(商品でなく工芸or芸術作品)を誰が買うんだろうか、どうやってメシを食っていけるんだろうかと下世話なことを考えました。その後、氏の名前を見ることがなかったのですが、このスピーカーの産経新聞広告を見て氏が健在であることを知り迷うことなく即座に購入を決めました。あの寺垣氏なら間違いなく完璧な作品だと頭から100%信頼しました。結果、すばらしいスピーカーでした。たった10万円で寺垣ブランドが買えたという満足感でいっぱいです。また、世界中には音楽の好きな億万長者は星の数ほどいますから、寺垣スピーカーを世界中に売っていただきたいですね。エジソンも蓄音機をチベットのダライ・ラマにまでセールスしたそうですから。今後の寺垣氏のますますのご活躍をお祈りします。
(2010年 2月28日 兵庫県 60代男性)